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October 14, 2008

We need the eggs

論文や本には、「謝辞」という部分があり、執筆に際して世話になった人たちへの感謝の言葉を述べる習慣がある。基本的には執筆時にコメントをもらったりして世話になった人たちへのお礼だが、執筆が何年にもわたる書籍になると、その間の不義理を堪えしのんでくれた(?)家族へのお詫びもまざることがある。

ずいぶん前に読んだアメリカ人の博士論文に、このような、恩師・先達・同僚などへの感謝の言葉と並んで、映画監督の Woody Allen への感謝の言葉があった。標題の、「卵が要る」ということを教えてくれたことへの感謝である。

この言葉は、1977年の映画 Annie Hall の最後で、Allen 演じる主人公 Alvy が Annie との関係をふりかえって語る話の中に出てくる。自分が鶏だと思っている弟のことが心配で分析医のところに相談に来た男に、医者が、弟を連れて来るように言うと、男は「そうしてもいいけど、でも、卵が要るんです」と答えるという話である。

Allen は、人間関係というのは結局こういうものだと言う。いろいろと馬鹿げたことが続くけれど、皆、「卵」が欲しくて、人とつき合うことをやめないのだと。「卵」とは、幻想なのかもしれないけれど、それを信じる人にとっては大切なものなのだ。

Allen はいつも、人生を悲観的にかつ肯定的に見る。Annie Hall では、健康的なカリフォルニアと病的なニューヨークが対比される。カリフォルニアが好きな Annie に対して、Alvy はもちろん、ニューヨークが好きである。人生にはいろいろと辛いことがあってみじめだからこそ、すばらしいのだと言いたげである。

大学生活をとってみても、いつも楽しいことばかりがあるわけではない。むしろ、辛いことの方が多いかもしれない。早起きして、授業に追われて、試験勉強に苦労して、単位がとれたか心配して、という状態が4年間続く。でも、やっばり皆、自分の「卵」を求めて頑張っているのだろう。今年入学した新入生から来年卒業する4年生まで、一人一人が卒業までにどんな卵を手に入れてくれるか、楽しみである。

しかし、なぜ卵なのだろうか? 個人的には、コレステロールが気になるので、他のものの方がよいのだが。

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