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March 13, 2009

卒業

大学の年度もいよいよ終わりである。先に「終わりのはじまり」と書いたが、それからあっという間に「終わりの終わり」になってしまった。

学生が大学生活を終えることを「卒業」と表現する。辞書を調べてみても、なぜ「卒」の字なのかはっきりしない。もともとは「衣」(を着た人間)を10集めて文字通り「十把一絡げ」とした下級兵(一兵卒)というような意味だったらしい。ある辞書では、そのようにまとめることから「締めくくり」の意味がでてきたという。

いつからか、芸能界で、グループのメンバーからはずれることや、司会者などが番組から降板することを「卒業する」と言うようになった。これも学校に関係なく、終えるということだろうが、単に「辞める」というのとは意味あいが違う気がする。

「卒業する」は英語では graduate だが、「卒業式」はアメリカでは commencement と言う。あちこちの式辞で言われているだろうが、commence というのは「はじめる」という意味である。卒業するということは、終えることではなく、次の段階をはじめることなのだ。

すると、モーニング娘。のメンバーからはずれることも、お天気キャスターが交代することも、当人にとっては次の段階へのステップアップということになるので、「卒業する」という言い方をするようになったのだろう。

人が去るときに、実は寂しいのは去る人ではなく、去られる側、送り出す側である。去る人にとっては「卒業」であり、期待にあふれる次のステップがあり、新しい経験が待っている。それがちょっと不安ではあってもワクワクするような気分がある。一方、送る側にとっては、明日からも同じ生活であり、単調な繰り返しである。しかも、惜しんで送り出した人抜きである。

そう考えると、「卒業式」を盛大にとりおこなうという行為は、送る側のためなのかもしれない。明日から繰りかえされる日常をいっとき忘れて、非日常的な空間を演出する試みなのかもしれないと思えてきた。

もっとも、大学にとって幸いなのは、卒業式の後10日もすれば入学式があることである。こうして、大学も中身を一部入れ替え、次のステップに移ることができる。

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