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July 29, 2010

蝉とゼミ

梅雨も明けて、晴れの暑い日が続いている。それとともに朝早くから蝉の鳴き声もいっそう激しくなってきた。今の時期に多いクマゼミは、虫の鳴き声というよりは、絶えず何かをこすりつけているかのような騒がしさである。

蝉は夏の間に、優勢を占める種類が入れ替わる。まず、ニイニイゼミが鳴きはじめ、続いてジージーとアブラゼミが鳴き、シャーシャーとクマゼミが悩まし、ミンミンゼミもそれに加わって盛夏を迎える。8月も下旬になるとオーシンとツクツク法師、カナカナとヒグラシが鳴き、気分は早くも秋である。

蝉の名前が皆「〜ゼミ」と濁っているのは、日本語には連濁と言われている現象があって、本来「セミ」であるべきものが、それぞれの種類をあらわす語が前について複合語になると、濁音化して「〜ゼミ」となるからである。

ところで、「ゼミ」と言えば、「卒論ゼミ」など、大学の後半にとる授業の一つの形態のことでもある。ゼミは通常少人数に分かれて何人かの教員が分担して指導するので、「郡司ゼミ」のように、その指導教員の名前をつけて呼ばれる。

こちらの「ゼミ」は、ドイツ語の「ゼミナール」から来たものだが、科目名に「ゼミナール」は使わない。「ゼミ」はあくまでも「ゼミ」なのである。英語では「セミナー」になるが、これも大学の正式の授業ではないみたいに響くので使わない。したがって「〜ゼミ」も「セミナー」を略した「セミ」が連濁によって「ゼミ」になったわけではない。

「蝉」と「ゼミ」の言語学的な違いのもう一つは、前者は、もともと「セミ」という平板なアクセントの単語なので、「〜ゼミ」となっても平板に発音されるのに対して、「ゼミ」の場合は「ゼ」にあるアクセントが保たれるということだ。したがって「郡司ゼミ」は、平板に「グンジゼミ」という蝉の名前と同じようには発音されない。

蝉は、7年前後土の中にいて、ようやく外に出たと思ったら7日間(あるいはもっと長く)鳴きあかすのを頂点に命を終えると言われる。それを思えば、クマゼミのうるささも寛容の精神で迎えるべきなのかもしれない。

卒論ゼミの方は、3年以上、土の中ならず、大学で勉強したことの集大成である。それを7日で書き上げるなどということがあってはいけないし、また、書いて提出してしまえばおしまいというわけでもない。

時々、卒論をきっかけに勉強の楽しさがわかったと言ってくれる学生がいるのはうれしい。もっと早く気付いてくれればなおよいのだが。

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