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March 31, 2011

鵜呑み

長良川の鵜飼は、鵜という鳥を利用した漁法である。鮎などの魚を呑みこもうとする鵜の喉元を紐でしばっておき、通過できない大きさの魚を吐き出させて回収する。考えてみれば、鳥にとって魚にとっても残酷な漁法である。

なぜ、鵜が魚を噛まずに呑み込もうとするのかわからないが、だからこそ、鮎がそのままの形で回収できることになる。もし、鵜が魚をよく噛んで食べる習性をもっていたら、このような漁法は考え出されなかっただろう。

ここから、「鵜呑み」という言葉が生まれる。鵜のように、情報をそのまま呑み込んで信じる人間に対して使われる言葉である。鵜飼との違いは、喉に紐がないので、呑み込んだ情報が吐き出されることなく、そのまま胃にまで達して、本人も信じこんでいることである。

今回の東日本大震災のような大きな出来事が起こり、情報が乱れ飛ぶと、また、政府や大会社の言うことが信用できないという風潮が蔓延すると、怪しげな情報がどんどん出てきて、それを鵜呑みにする人間が増える。

特に、今はインターネットの時代である。情報があっという間に拡がり、鵜呑みにした情報が、また吐き出されたかのように、そのまま伝播されるので、デマが広まるのも速かった。

ただし、インターネットは、誤った情報の迅速な訂正にも役に立っている。電力会社は自分のところのウェブサイトで「公式に」否定できるし、Twitter でも、誤った情報を追いかけるかのように、訂正・否定の tweets が飛び回る。

誤った情報が拡がるのは多くの場合、不安にかられてのことが多い。目に見えない放射線への恐怖は誰にでもある。公表されている以上の隠された情報があるのではないかと疑心暗鬼になってしまうのも無理はないと思う。

とは言え、自分では情報の正しさが判断できない人の無責任な発言は目に余る。特に、世間への影響力の大きい人の発言はもっと慎重であってほしいと思う。こういう人たちは、鵜飼の鵜ではなく鵜匠であるべきなのだから、結果的に不安を煽るようなことはよくない。

一方、正しく情報を判断できる人間の貢献も目立つ。今の放射線の状態、人体への影響など、ボランティアの科学者たちがインターネットで適切な情報を提供している。政府とも電力会社とも無縁のこういう人たちの発する情報は信用してよいと思う。

明日は入学式である。新しく大学生になった人たちにも、鵜呑みにせず、自分の頭で判断することの大切さを教えていきたいと思う。

今回の震災で被災された方々に心からお見舞い申し上げます。

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