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January 31, 2012

未完の場

年末年始の休みを利用して、家族でスペインを旅行した。お目当ての一つはバルセロナで建設中のサグラダ・ファミリア(聖家族)である。今年で着工以来130年になるが、完成まで200年はかかると思われていたのが、最近の観光客の増加でようやく目途が立ち、あと十数年で完成すると言われている。

これはアントニ・ガウディが、40年以上もかけたまま未完に終ったものだが、今は日本人の主任彫刻家外尾悦郎氏も関わり、近代的な道具も駆使して着々と完成に近づいているらしい。

長い年月と言えば、松蔭女子学院も今年で120年を迎える。1892年に松蔭女学校として創立されたのが始まりである。

建築物はいくら長い年月がかかってもいつかは完成する。一方、学校というのは、120年あるいは200年かかっても完成ということはないだろう。

大学で新しい学科を作ったときには、4年間は申請内容から大きな変更は許されない。4年目は「完成年度」と呼ばれ、最初の卒業生が出ればいちおうの「完成」であるが、申請時には気付かなかった様々な問題の解決と改良の始まりでもある。この段階に入ると決して「完成」することはない。

建物は、改修することはあるが、基本的にそれを構成する素材は変わらない。一方、大学は、学生は原則として4年で入れ替わり、教職員も入れ替わりがある。

つまり、大学というのは、実体があるものというよりは、人々が通りすぎていく「場」のようなものなのだ。120年の間に通りすぎた人々の一人一人の記憶の中に存在するものとして。

そうなると、大学に関わる人間としてなすべきことは、通りすぎた後、「いいところだったなあ」という思い出をもってもらえるような場をつくることになる。場そのものは決して完成することはないだろう。そこを通りすぎる人々が少しずつ完成に近づけていってくれるものなのだから。

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