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October 31, 2012

目から鱗

年頭に、今年は本学院が創立120年を迎える年であるということを書いたが、それに関連する行事も何回かに分けておこなってきた。7月の St. John's College のコンサートもその一環であり、9月にはチャペルでささやかな式典をおこなった。

チャペルの収容人事はせいぜい250人程度なので、招待できる人は限られていたが、礼拝形式という式典もそれなりによかったのではないかと思う。

今年度の主な行事の最後に近いものとして、10月12日に、このチャペルから生まれたと言ってもよい、今や世界で活躍する、鈴木雅明氏率いる Bach Collegium Japan (BCJ) によるメンデルスゾーンの「パウロス」の公演を神戸国際会館で開いた。

チャペルを本拠地とし、CDの録音もすべてチャペルでおこなっている BCJ であるが、この曲は編成も大きくなるし、あまり演奏されることのない演目なので、大勢のお客さんに聞いてもらおうと、大きなホールで開催することになった。

演奏は大変に熱のこもったもので、新聞の評などでも高い評価を得た。120周年を祝うということを、学院の関係者の中だけにとどめず、質の高い音楽という形で広く神戸の人と分かち合うことができ、地域貢献にもなったのではないかと思う。

「パウロス」というのは、新約聖書の聖パウロのことであり、ユダヤ人としてサウロと名乗っていたときはキリスト教の迫害者であったが、イエスの声を聞くことにより、回心し、その後は熱心な伝道者となったことで知られる。一時目が見えなくなり、キリスト教徒のアナニアの祈りによって、目から「うろこのようなもの」が落ち、また目が見えるようになったと使徒言行録には書かれている。

ここから、「目から鱗(が落ちる)」というと、今まで気付かなかったことに気付く、開眼する、ということを意味するようになった。これが聖書に由来するということを知らなかった人にとってはまさに「目から鱗」ではないだろうか。

人は知らない間にあちこちに「鱗のようなもの」を付けてしまいがちである。それに気付き、落とすということも大事だな、と思った演奏会であった。

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