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July 31, 2013

先生付け

日本語では二人称の代名詞が、かなり使いにくい。日本語を母語としない人が、日本語の二人称代名詞は「あなた」であると教わって使うと、たいていの場合、失礼な言い方になってしまう。

名前がわかっていれば、それに「さん」を付けると問題なさそうだが、必ずしもそうではない。会社で社員が先輩を呼ぶときも、「鈴木さん」より「鈴木先輩」の方が丁寧な言い方であるような気がする。ましてや、平社員が課長、部長、社長などを「〜さん」と呼んだらどうなるのだろうか。左遷だろうか。

一般に、日本語では、役職者はその肩書で呼ぶ方が丁寧な印象を与える。おそらく、名前など省いて、「課長」とか「部長」とか言う方が普通だろう。(ただし、会社の方針として肩書で呼ばずに「〜さん」と呼びあうことにしよう、としている会社もあることは聞いたことがある。)

大学というところは、また別の原則が適用されるところのようである。「助教」「准教授」「教授」という段階はあるが、「上司」「部下」という関係ではないので、助教や准教授が教授のことを、「教授」とか「鈴木教授」と呼ぶのは、ドラマの中だけである。実際は「先生」とか「鈴木先生」とか呼ぶことが多い。

学校の中で、このように、同僚を「先生付け」でお互いに呼ぶことは、かなり一般化していると思うが、外から見たらどうなのだろうか。実際、学会などでよく知っている研究者どうしは「さん付け」で呼ぶことの方が多いから、ある意味、「先生付け」は、特殊であり、ちょっと距離を置いた呼び方なのかもしれない。

学生にとっては、教師は文字通り「先生」であるから、「先生付け」で呼ぶのが当り前のような気がするだろうが、意外にそうでもない。自分が学生だったころを振り返ってみると、面と向かっては「先生」と言うが、学生どうし、あるいは研究室の助手が相手だと、教授を「さん付け」で呼んでいたような気がする。これは、自分が所属していた大学の特定の学科だけでの(生意気な)風習だったのかもしれないが。

数年前から、個人的にはもう一つの呼び方が誕生して、また一つ居心地の悪さを感じている。「学長」という呼び方である。特に、学生からこう呼ばれるのは、何年たっても慣れない。一番なじんでいるのは「先生付け」であるが、最近は「さん付け」も抵抗がなくなった。

しかし、「教授」と呼んでくる学生とは口をききたくないと思う。

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