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July 31, 2014

オオカミ少年のその後

3年前(2011年5月31日付ブログ参照)に登場して以来、その後の消息が不明であったケンのその後の情報が少しずつ入ってきました。

どうしても自分が見た動物がオオカミだと証明したいケンは、毎日、森の中に探しにいく生活を続けました。そしてある日、遠くにかすかではありますが、自分が信じているオオカミのイメージにぴったりの動物を見ることができました。

ケンは大いに喜びました。ぼやけてはいましたが、写真にとることにも成功しました。それでも、疑い深い村人たちは、野生化したイヌだろうとか、オオカミでも絶滅したのとは別の種類の大人しい、オオカミまがいだとか、仮にオオカミであったとしても、羊はきちんと柵の中にいるから大丈夫だ、などと、要するに、大した発見ではないと片付けようとしていました。

村人たちに話していても埒が明かないと決心したケンは、「オオカミ目撃談」という原稿を仕上げ、いくつかの出版社にもちこむことにしました。はじめの何社かからは門前払いをくらったのですが、ようやく出版してくれる会社が見つかりました。

目撃談は、今までの常識をくつがえすものとして、たちまちに評判を呼び、あっという間にその年のベストセラーとなりました。メディアからの取材も増えたケンの受け答えはいつも自信に満ちていて、ケン自身もスター扱いされるようになりました。

ところが、本が売れると、詳細に分析する人があらわれるもので、いろいろとつっこみ所があることが次第にわかってきました。例えば、ケン自身の記憶にもないのに、自分はオオカミに育てられたという記述とか、10歳ごろまで言葉を話せなかったのに本の日本語が巧みすぎることから、ゴーストライターがいるのではないかとか、そもそもはじめの方はネット上の情報の引き移しではないかとか、オオカミらしきものが写っている写真はトリックではないかとか。

そして、オオカミブームは、あっという間に下火になってしまいました。問題は、目撃談に次いで、決定的な存在の証拠を出せなかったケンにあります。疑惑の中での記者会見でのケンの発言が心に残ります。

「オオカミはいます!」

今となっては真相は闇の中です。仮に、オオカミが実在していたとしても、ケンにはコミュニケーション能力が決定的に欠けていたと言えるでしょう。保守的な村人たち、何につけ楽観的に考えたいと思う人たちにきちんと筋の通った話を組み立てることができなかったのです。ケンに名誉を挽回するチャンスはあるのでしょうか。(続く)

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