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January 31, 2015

短日処理

学長室にシャコバサボテンが一鉢ある。はじめは漠然と、時々水をやったりして、育てるというでもなく、観葉植物と思って放置状態だったのだが、ある年、お正月の休暇明けに出校すると、花が咲いていた。

あわてて調べると、10月頃から1月にかけて開花するものであるらしい。それまで咲かなかったのは、育て方に問題があったからだということだ。水はあまりやらない方がよいとか、肥料は7月以降は与えない方がよいとか、そういうことを知らず、漫然と育てていた。

特に気をつけないといけないのは、シャコバサボテンは「短日植物」なので、夜の時間を一定時間確保しないと、蕾をつけないということだった。部屋の中に置いているので、人がいる間は夜になっても明かりはついている。帰宅後暗くなってから翌朝までの時間では必要とされる12時間が確保できていなかった。お正月休みの一週間は、自然の日照時間に合わせて暗くなっていたので、十分長い時間が確保されたということなのだろう。

しかし、毎日、日没とともに帰宅するわけにもいかない。室内に置いたまま暗い時間を長くするには、人工的に段ボール箱をかぶせたりする、「短日処理」が必要だと言う。

偶然に咲いた翌年は、鉢をすっぽり覆う段ボール箱を作り、夜になったらかぶせるようにした。もっと、本来10月ごろからやらなくてはいけないらしいのだが、12月末か1月になってからあわてて思い出してやっていた。

今年も、お正月明けにはまだ咲いていなかったので、遅れ馳せながら短日処理を試みて、20日過ぎに開花した。すでに蕾は年明けにできていたから、短日処理のおかげとは言えないのかもしれないが。

人工的な短日処理は、言わば植物を「騙して」いるわけである。部屋の電気がついていて、本当は明るいのに、暗いと思わせるわけだ。もちろん植物が実際にそう思っているわけではないが。

そういう意味では申し訳ないような気にもなるが、ふと、太陽が沈んで夜になっても、照明によって明るくして仕事をしている人間の方が自分を騙しているのではないかと思いはじめた。段ボールによって、本来の夜の状態を再現してもらっている植物の方が自然に沿った生活をしているのかもしれない。

すると、人間もいっそ「短日処理」をした方が、伸び伸びとした生き方ができるのかもしれない。

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