安達圭一郎教授が松蔭土曜講座で講演を行いました
センター所長の安達圭一郎教授が、神戸松蔭土曜講座で講演を行いました。
「神戸・女性・未来・・・」をテーマとした7回シリーズの講座の第2回目として5/23(土)行われた安達教授の講演をご紹介致します。
「マンモグラフィ検診に対して複雑なイメージをもつ日本人女性」
このブログを目にしてくださっている皆様は、マンモグラフィ検診を受けられたことがおありでしょうか。
乳がん発症者数は世界的に増加を続けており、皆様の身近にも罹患された方がおられるかもしれません。国立がんセンターの統計によると、欧米ではマンモグラフィ検診が盛んになった1985~1995年頃を境に乳がんによる死亡者数が減少傾向にあり、早期発見がその後の長期生存につながることがはっきりとわかっています。一方、わが国では現在もマンモグラフィ受診者の割合が20~30%にとどまり、乳がんによる死亡者数が右肩上がりの微増を続けているというのです。
わが国でマンモグラフィ検診の受診率が低いのはいったいなぜでしょうか?
安達教授の研究では、受診行動を左右する心理学的要因として、乳がんになるかもしれない…というリスク意識と、そんな怖い病気になったら落ち込んでしまうのでは?という不安を同時に処理することが、マンモグラフィ受診という行動と関係していると示唆されています。
では、受診率の少ない日本人女性は不安とリスク意識が低いのでしょうか??
いえ、そうではありません。
受診率の低さの背景には、どうやら不安遺伝子を多く持つ日本人特有の、臭いものに蓋という文化に由来する心理が働いているようです。乳がんが見付かったら怖いから、と検査を避ける行動は不安が高いゆえの心であると言えます。
不安を乗り越え受診するためには、
・過去に受診体験があること
・正しい知識をもっていること
という2つの要素が関係していることが安達教授らの研究によって明らかにされました。
安達教授は「医師のように直接手術をして治療をすることはできないが、受診率低下のメカニズムを解明し、“知っておく”ことの可能性を広げることで皆様のお役に立てる研究ができれば・・・。早期発見・早期予防で長く生きて、素晴らしい人生を体験してほしい」と伝えています。
乳がんの発見が遅れれば命に関わるから、早目早目に検診を受けた方がいいことは、誰もがわかっていることではありますが、本講演により“データを見て改めて認識する”・“受診行動に至るメカニズムを知る”ことで、新たにその事実に目をむけるきっかけになればという願いが込められています。
来る6/6(土)には当センタースタッフの黒崎優美准教授が本講座で以下の講演を行います。
「わからない」ことの大切さ~心理学的視座からの学習支援~
皆様もぜひ本校の土曜講座にご参加いただき、たくさんの学びと発見に出会っていただけたらと願っております。
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