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2015年7月10日 (金)

黒崎優美准教授が松蔭土曜講座で講演を行いました

センタースタッフの黒崎優美准教授が松蔭土曜講座で講演を行いました。

 神戸松蔭土曜講座7回シリーズの第4回目として6/6()に行われた黒崎准教授の講演をご紹介いたします。

 

 「わからない」ことの大切さ ~心理学的視座からの学習支援~

 

 皆様は「学習支援」という言葉を聞かれて、どのような取り組みをイメージされるでしょうか。

 

黒崎准教授は、学習が困難な子どもの支援を希望する大学生に対して心理的な観点からかかわり方を指導し、その上で子どもたちとつなぐ活動を行ってきました。単に勉強を教えるだけではなく、学ぶことを難しくしているこころの問題にも目を向け、こころを育てていこうと考えています。子どもたちを支援する大学生への講義の中では、「わからない」とはどういうことかを学生たちに問いかけています。

 

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 「わからない」とは、あなたにとってどういう体験ですか?

 

 

たとえばあなたが、ある講演会を聞きに行ったとします。難しすぎて「わからない」ことばかりだと、今日はつまらなかったなぁ~、講師は話がヘタだったな・・・と思われるかもしれません。また逆に聞いたことのある話ばかりであればどうでしょう。「わからない」が全くない状態であれば、物足りなかったと感じるでしょう。

 学びたい気持ちが満たされる時とは、適度な「わからない」が「わかる」へ変換された時であり、学習が成立した時と言えます。

 

 では、「わかるようになる力」はどのようにして習得されるのでしょうか。

 

それは持って生まれたものではありません。

 

生まれたばかりの赤ちゃんは、おなかがすいた時・眠い時などは、身体的なモヤモヤとした感覚が何を意味するのかわからずに泣いたりぐずったりして、モヤモヤをはきだします。そうすると周りの大人(例えば母親)は何で泣いているのかな?おなかがすいている?それとも眠いのかな?とミルクを飲ませたり寝かしつけたりして世話をするでしょう。

 

その時におこっていることを心理学的視点から整理してみます。赤ちゃんから排出されたモヤモヤとしたわからないものを母親が一旦受け止め、おなかがすいたとか眠いといった「わかる」体験にして母親の中に取り込みます。そして母親はミルクをあげたり寝かしつけたりといった世話をする行為により赤ちゃんのモヤモヤに意味を与え、それを戻すということがおこっていると考えられます。

赤ちゃんはモヤモヤ(「わからない」)が大人を通して「わかる」に変換されて戻ってくるという体験をしているのです。この体験を繰り返すことで、少しずつ「わからない」ということを抱えられる・体験できるようにこころが成長していくと考えることができます。

 

では、大人が赤ちゃんの「わからない」を受け止めることができず、何で泣いているの?うるさい!!!!と赤ちゃんを叱りつけたとしたら…。赤ちゃんは、はきだしたモヤモヤが恐ろしいものになって返ってくるという体験をすることになります。これをくり返すと、「わからない」に耐えることができず、すぐにキレるようなこころの状態を産んでしまうかもしれません。

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 こういった理解に基づいて学習支援ということを考える時、ただ勉強を教えるだけではなくて、「わからない」と言うことができる関係性を作り、「わからない」を共有し共に体験するといった支援のあり方が見えてくるのではないでしょうか。

 自分の「わからなさ」を誰かにさらすのは、とても勇気のいることです。学習支援活動の在り方として、子どもが「わからない」自分を隠さずに「わからない」と言えることの大切さを学生たちに伝えてきました。

 

こういったことを考えていく講義の中で、学生の視点や考え方に変化を感じられるようにもなってきたと黒崎准教授は述べています。また今後は教員OBへと支援にかかわる人々の輪を広げていく予定です。異世代間の交流を産みそれぞれが学びを得る場であるように、実践を続けています。

 

 ―あなたにとって「わからない」とはどういう体験ですか?―

 

 

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※本学主催の神戸松蔭土曜講座については、こちらをご参照ください 

 http://www.shoin.ac.jp/contribution/extension/koukai.html

 

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