神戸松蔭こころのケア・センター20年の歩み
本センターは、本学に心理学科が設置された2001年に地域に向けての心理援助サービスを提供する機関として開設されました。キャンパス内で開設された場所は、ずっと以前はなんと一流ホテルが運営していたレストラン跡のスペースだったらしく、学内で最も眺めの良い場所の1つです。
2004年には大学院に臨床心理士を養成する心理学専攻が設置され、大学院生たちの臨床実習の場となりました。臨床実践の機会を増やすために、少しでも多くの方に利用していただこうとスタッフと院生たちが協力して汗を流しながら、近隣の住宅にリーフレットをポスティングした日が思い返されます。
そのような努力の甲斐もあり、利用者も順調に増え、利用件数も年間1000件を超えるようになりました。利用者皆様にご理解いただけるおかげで、大変貴重な実習と実践の場とさせていただいています。
尼崎の脱線事故の後には、被害に遭われた方が無償でご相談できるように告知を行いました。また、犯罪被害に遭われた方や経済的な支援の必要な方、またこの度のコロナ禍でも料金の一部を免除させていただくなど社会的な役割を常に意識するよう心がけております。
2019年度からは心理学領域での初めての国家資格である公認心理師養成プログラムにおける実習施設としても機能しております。
近年の震災やパンデミックに限らず個人的なことも含めるならば、私たちの暮らしは思いも寄らない出来事に溢れています。残念ながら私たちは、これらの厄災から完全に逃れることはできないようです。ならばしなやかにつきあうことややり過ごすことを考えねばならないのかもしれません。私たちの悩みの多くは人間関係の中にあることも事実ですが、癒しもまたその中にあるといえるでしょう。つまり、会話をはじめとしたコミュニケーションによって形成される人間関係の中で人々は心の傷は癒されます。実習に携わる大学院生は決して人生のベテランではありませんが、そのような会話やコミュニケーションの実践について専門的に学ぶ者です。どうぞ、カウンセリングの会話を通して新たな視点の探索に役立ててください。
20年の長きにわたるご理解とご支援に感謝すると共に、これからもあたたかい眼差しで見守っていただき、ご協力くださいますようどうぞよろしくお願いいたします。
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