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2015年10月30日 (金)

「被害者支援の心理学」でゲスト・スピーカーを招聘しました

「被害者支援の心理学」の授業では、殺人や性暴力、DVなどさまざまな犯罪被害における心理的問題とその支援について学んでいます。被害者に対する支援を考える際に重要なことは、まず被害者が置かれている現状や被害者の心情を知ることです。この授業では毎年、実際に事件や事故の被害に遭われた当事者の方をゲスト・スピーカーとしてお招きし、被害の体験についてお話しいただいています。

1023日(金)の授業では、殺人事件の被害者遺族である坂口真弓さんに「被害の体験を聴く」というテーマでご講演いただきました。坂口さんの弟は、15年前、車の運転をめぐるトラブルから未成年者が運転する車でひき殺されました。

事件から15年経った今でも事件現場を車で通ることはできないといい、「大切な人を失った心の傷は一生消えることはない。人の心に寄り添える支援者になってほしい」と訴えました。以下に、受講した学生の感想を一部ご紹介します。

20151030       坂口さんとひょうご被害者支援センター事務局長


・『実際に犯罪の被害に遭われた方からお話を聞くことができて、とても貴重な経験となりました。“記憶は消すことができない”この言葉が印象的でした。時間は元に戻すことはできないし、今ある瞬間がとても大切なのだと感じました。』

・『“事件前には決して戻れない”という言葉が心に残りました。どんなにケアをしても、大切な人を失ったという心の傷は消えることはない。その傷を背負いながら生きていくしかないと思うと、大切な人を失った苦しみというのは壮絶なものだということがひしひしと伝わってきました。』

・『社会の対応への怒りは、どうしたら伝わるのだろうとお話を聞きながら考えた。実際に被害者にならないと分からない痛みや辛さが、目に見えること見えないことでもたくさんあると思う。それを伝えていく手助けができればいいなと感じた。』

・『一番心に響いたのは“悲しみにランク付けなんてできない”という言葉です。今日の話を聞いていなかったら、子どもを亡くした親が一番つらいだろうとか、人によって辛さの感じ方は違うのに勝手に判断してしまっていたと思います。姉と弟の関係には、そこにしかない絆があり、思い出があります。坂口さんと同じ姉の立場として、この言葉がものすごく心に刺さりました。』

20151030_2

教科書だけでは伝わらない、多くのことを学び考えた1時間でした。
(本学教員:大和田 攝子)

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