心理学科教員の黒崎です。
5月27日に松蔭高校で学科紹介イベントがおこなわれました。
進路決定をおこなう高校3年生を対象に、神戸松蔭女子学院大学の各学科から教員と松蔭出身の学生が参加して学科の紹介をおこなうものです。心理学科からは、3年生の山名翠さんと黒崎が参加しましたので、その一部をご紹介します。
まず、山名さんに、心理学科へ進学を決めた動機と、実際に心理学を学ぶようになって分かったことについて話してもらいました。
私は、松蔭中高出身です。高校のときは、軽音楽部の活動に力を入れていました。
部活は軽音に限らずチームで活動することが多いと思いますが、私はそのなかで自分の意見を主張したり相手と議論することに難しさを感じていました。
進路を選択するとき、正直に言って特別学びたいことがあるというわけではありませんでしたが、せっかく大学で学ぶなら、何かを専門的に深く学んでみたいという気持ちは何となくありました。それで、心理学だったら、部活で悩んでいたような人間関係や人の心がわかるのではないかと思い、心理学科に進むことにしました。
心理学を学んでわかったことを、二つお話しします。
一つは、聞いているという態度を相手に示すことの重要性です。カウンセリング場面では、クライエントの顔を見てうなずいたり、繰り返したり、確認することによって、話を聞いているということを表します。それにより、クライエントは、安心して何でも話せるという感じを持ちやすくなります。これは、現在私がアルバイトでおこなっている、接客業のクレーム対応などにも役立ちます。お客さまの訴えを、単なるクレームとして処理するのではなく、真剣に耳を傾けその態度が伝わることで、お客さまの納得を得られやすく対応がスムーズに進むように感じています。
もう一つは、身近な関心事を理解するのに役立つということです。例えば、日本人のモテ顔にどのような特徴があるか、なぜそのような特徴をもつ顔がモテるのかなど、恋愛に関することを学べる授業もあります。私自身身近で興味のある分野なので、卒業研究では恋愛をテーマにしようと考えています。
ここで、黒崎から、心理学科での学びについて、少し補足をします。
山名さんは、「何かを深く学んでみたい」と思い心理学科に進学したと話してくれましたが、実際には心理学は深いだけでなくとても幅広い学問です。そこで、1,2年生では広くさまざまな心理学を幅広く、そして、3,4年生ではゼミに所属し興味のある分野についてより深く学んでいきます。山名さんは今3年生で、私のゼミで学び始めたばかりですが、私は臨床心理学が専門なので、そういった観点で恋愛をテーマにするなら、例えば「“絶食系”の心理特性と自己愛との関連」といった卒業論文を書くことができるかも知れません。
卒業後の進路について考えていることについても話してもらいました。
卒業後は、人と関わることのできる、そして、できればお菓子やペットなど自分の好きなことに関わることのできる仕事に就ければいいなと思っています。3年生から就職活動に向けての準備を始めるのですが、松蔭は就職活動にも手厚いサポートがあるので心強いです。
心理学科生の進路について、補足説明をします。
心理学というとカウンセラーの仕事をイメージする人が多いかも知れません。確かに、一部の卒業生は大学院に進学し、その後臨床心理士として活躍しています。2015年には「公認心理師」という新たな国家資格が制定されることになりましたので、カウンセラーの活動領域が今後さらに広がると思われます。
しかし、一般企業や、その他心理学と直接には関連の薄い就職先を選ぶ学生も多くいます。就職先はさまざまですが、多くの学生が自分の進路決定に満足しているようです(2016年3月卒業生の75%がアンケートに満足と回答)。それには、単に心理学の知識を表面的に得るだけでなく、心理学の学びを通じて、他者のことや自分のこと、社会のことをより深く考えられるようになった(同じくアンケート結果から、それぞれ、91%、85%、73%)ことが関連しているかも知れません。希望する進路に進めるように、資格取得などを学科としてもサポートしています。
最後に、大学生の間にやっておくとよいと思うことを、山名さんから伝えてもらいました。
どうせ大学に行くなら、だらだらと通うのではなく何か一つでも目標をもって行くことをおすすめします。大学は高校までと違って自分から行動しないと何も始まりません。同じ4年間を過ごすなら、時間を無駄にしないように、遊ぶ時は遊ぶ、勉強する時は勉強に集中することが大切だと思います。
勉強以外にも、大学ではいろいろなことに挑戦できます。私は、アルバイト以外に、「学科ピア」という活動をしています。オープンキャンパスや卒論発表会といった学科のイベントを自ら企画したりスタッフとしてサポートする活動です。学科ピアを含め、ボランティア活動や資格取得など、授業以外の活動をがんばった学生を学科が表彰してくれる制度もあります。時間を有効に活用し、充実した大学生活を送れていると思っています。
イベントで熱心に話を聞いてくれた松蔭高校3年生の皆さん、後輩に一所懸命話をしてくれた山名さん、ありがとうございました。