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2016年8月26日 (金)

活躍する卒業生:銀行員のお仕事

「心理の仕事」の授業にお越しいただいた、株式会社三井住友銀行で銀行員として勤務されている卒業生の金森希美さんにお話を伺いました。
金森さんは神戸松蔭心理学科の第1期生です。

. 銀行員になられた理由は何だったのでしょうか?

A. 大学2年生の頃にアパレルのお店でアルバイトを始めたのですが、最初は売れ筋商品を言われるままに販売していました。けれど、お客様がどう変わりたいのか、どこへ着て行きたいかといったニーズに耳を傾けなければ、他のお店と同じ価格の商品を買っては頂けません。お客さまのお気持ちを伺い、おひとりおひとりに合ったものを提供しなければいけないと、アルバイトながらに思いました。自分なりにお客さまに合うと考えたコーディネートを提案するよう、心掛けていると、徐々に私のコーディネートを聞きに来てくださる方が増えました。自分の提案を認め、受け止めて頂けることが嬉しくて、そんな仕事がしたいと思うようになりました。
身に着けるものだけでなく、人生のコーディネートができれば楽しいと思ったことが、金融の世界を選んだきっかけです。きっかけは軽い気持ちでしたが、お金に関する様々な悩みに耳を傾け、お客さまの人生に寄り添うことができる、とてもやりがいのある仕事だと感じています。

. 銀行員のお仕事は一見すると心理学とは全然関係がないように思うのですが、どのようなお仕事があるのでしょうか。大学で学んだ心理学は役に立っていますか?

A. 私のキャリアの大半が営業の仕事なので、銀行の仕事の全てをお伝えできるわけではないのですが、例えば、貯蓄や保険の見直しといった、運用の相談を受ける部署があります。就職した時、結婚した時、子どもが生まれた時、家を買う時、そんな人生の節目でお客さまと関わることになります。
そういう部署で働いていると、お客さまの表面化していないニーズに気付くために、心理学の知識を使うことがあります。また心理テストを受け、自分がどういう特性や適性を持っているかを知り、接客をする際の参考にしています。授業でも心理テストを受けたり習ったりしたことはありましたが、働いてからテストを受けることで初めて分かったことが沢山ありました。大学34年生で学ぶ専門性の高い知識も重要ですが、12年生で学んだ広い知識がすごく役に立ちました。

. 実際にお仕事をされる中で学んだり、大学で学ばれたことを改めて意識したりされたのですね。お仕事をされている中で、特に意識されていることはどのようなことですか?

A. 人は外見で判断しやすいと言いますが、ステレオタイプで判断しない、第一印象で人を決めつけないということを一番大切にしています。仕事の中でも、意見が合わず、お互いの話が平行線になってしまうことはありますが、そこに着地点や妥協点を見つけなければならない。そんな時は決めつけをせず、相手と意見がぶつかる理由を冷静に見つめ直し、自分と違う意見を理解することで着地点を見つけるんです。
また、傾聴のスキルとも繋がってきますが、相手が口に出さない思いを理解して応えていくことも心がけています。本当の気持ちを引き出して、そこに触れていくんです。話しやすい関係を築くためには、聞く態度や姿勢も大切ですし、自分がどういう人間で、どういう環境で過ごしてきて…といった自己開示も意識しています。

Q. 金融業といえばお金のやりとりばかりなのかと思っていましたが、人と人とのやりとりに真剣に向き合われていらっしゃるのですね。
銀行員になって良かったことはどんなことですか?

. お客さまの本当の想いに応えられる提案ができ、ご本人に喜んで頂けた時に、この仕事をしていて良かったと感じます。一方で、その提案が本当によかったかどうか検証することは困難です。当事者が満足できたとしても、ご家族の方は…と考えていくと、本当にそれでよかったのかどうかは分かりません。お客さまの想いに寄り添った上で、仕事自体を成功させるというのは私の使命ですが、更にその先にいる人のことまでも考えて仕事をするというのは本当に難しいです。私たちの言葉一つひとつが、お客様の人生にすごく影響を与えてしまう言葉になるかもしれない。その責任の重さはいつも感じています。
責任が重たい分、お客様から信用して頂けた時の喜びはとても大きいです。沢山ある銀行の中から当行を、そして担当者である私を選んでいただけた時は、本当に嬉しく、仕事のやりがいに繋がっています。

. 最後になりましたが、在学生に何かアドバイスをお願いします。

. 企業での仕事、子育て・子どもの支援など、いろいろな仕事や役割はありますが、どんな仕事においても人との関わりは必ずあります。その中で、皆さんが学んでいる心理学の知識を活かせる機会は沢山あると思います。大切なのはそれに気づけるかどうか。それに気づいて、変わりたい、変えたいと思って取り込むことが大切だと私は思っています。
様々な職業がありますし、人によって考え方も違うけれど、ステレオタイプで決めつけるのではなく、人の意見をしっかりと聞き入れ本質を見抜ける人になってほしいと思っています。

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