「心理の仕事―児童の施設における心理の仕事」を受講しました
心理学科4年の藤村です。
6月24日(金)、「心理の仕事」の第10回目の授業が行われ、臨床心理士・公認心理師である立川裕佳先生を講師にお招きし、児童の施設における心理の仕事についてご講義いただきました。立川先生は、なんと大和田ゼミ出身であり、本学の卒業生の方でした。現在は、社会福祉法人神戸真生塾神戸市立自立援助ホーム子供の家にて心理士としてお勤めになられています。
神戸市立自立援助ホーム子供の家は、就労等の理由により、児童養護施設などを退所しなければならなくなった児童や、虐待など何らかの理由により家庭で生活することのできなくなった15歳~20歳未満の児童で、就労中または就労予定の者を対象として、他児との共同生活の元、仕事に通い、働いて得た収入からホームの使用料を払いながら、社会で生活していく力を自分で身につけていくための場所です。心理士の主な業務としては、入所児の面接、担当職員への助言や連携、入所児の関係機関との連携、アフターケアなどの面接業務と、地域・家庭などからの相談への対応、親子イベントの開催、関係機関との連携などの子育て(地域)支援事業があります。まず、神戸市立自立援助ホーム子供の家では、入所児や退所児、一時保護児童、関連機関を対象として、入所児には基本的に月一回の定期面接、希望する児童には月一回以上の面接を実施しているそうです。心理士の役割としては、職場や学校、他入所児や職員とのかかわりから生まれる不満などの気持ちを傾聴・共感・助言したりすること、問題行動等への振り返り、甘え行動への対処、担当職員へのコンサルテーション、他職種・他機関との連携といったものがあります。ここで立川先生は、面接などの心理療法や日常生活でのかかわりを通じてアセスメント・見立てを行う点や、日常生活の中でもスキル獲得の練習に活かす点、といったところに心理士の専門性があるとおっしゃっていました。
また、神戸市立自立援助ホーム子供の家では、子どもを育てる上で気がかりなこと、心や体の成長発達のことなど子どもに関する様々な事柄について保護者とともに考え、地域の子育て支援を行います。心理士の役割としては、相談者の日程に合わせて、約束の日以外でも電話で相談を行い、相談者から必要な情報を収集したうえでアセスメント・見立てを行い、子どもを中心とした支援を考えることであり、心理療法以外の場面でもイベントなどで出会うため、相談者の立場に立って考える視点を持ったうえで、臨機応変に対応することが求められています。注意する点としては、心理士自身が柔軟に対応していることを自覚するために、まずはしっかりと心理士としての基本姿勢や意味を十分に学ぶことが大切であるとおっしゃっており、このことは児童の施設だけでなく、ほかの施設においても重要な点であるように感じました。
今回、立川先生の講義を受講させていただき、児童の施設における心理の仕事について、神戸市立自立援助ホーム子供の家を例にしっかりと理解することができました。さまざまなケースを挙げて紹介していただいたため、どういった点で注意するべきなのか、大切なのはどこであるか、教科書で学ぶだけではわからない、心理士の仕事の実際がとても想像しやすく、参考になりました。
立川先生、ありがとうございました。
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